駆け引きは危険で甘く、そしてせつなくて
意識を手放す前に掠れた声で呟いたりいさ。
嘘偽りのない言葉に、ニヤケが止まらないのだ。
無理やり言わせた言葉じゃない、りいさから出た本音に、顔がしまらない。
ここまでくるのに、長かった。
無防備な姿を抱きしめ、掛け布団を体にかけてやり、ただ彼女の寝顔を見ているだけで幸せになる。
彼女の気持ちはわかったいたが、踏み出せなかったあの頃の自分。
俺の中身を見ず外見や肩書きに擦り寄る女ばかりの中、彼女だけは違った。
媚を売るわけもなく、はっきりというもの言い。彼女との掛け合いが楽しいと思うようになったのはいつからだろう?
目くじらを立て怒る姿が可愛くて、わざと困らせる言い方をしたり気を引いていた。
大の男が、小学生並みの愛情表現しかできないもどかしさ。
それは、彼女が俺との距離を取っていたからだった。
だが、いつしか距離が少し縮むにつれ彼女の眼差しが物言いだけにさまよいだし、見つめられる回数が増えていく。
勘違い?なのか…彼女も俺と同じ気持ちじゃないのかと思うようになるが、彼女に告白する男は絶えなくて、いつも取られるんじゃないかとハラハラしていた。
一度限りと頼み込まれ、デートを承諾する姿を何度も見た。