父の遺した日記

裕太side

5月になるとクラスの親睦を深めるために一泊二日の林間学校が行われた。カレー作りやキャンプファイヤー、山登りなどなど2日間で行うには運動部でないと少しハードではないかと思うくらい詰め込まれていた。行動班は男女2人ずつの4人グループ。男子にとっていかに料理上手の女の子と組むかが重要になる。

「裕太〜俺と組も〜!」

声を掛けてきたのは前の席の戸澤春樹だった。春樹は常にパワフルで、こいつの行動を見てるだけで疲れるけど、同じバスケ部のいい奴。中学に入ってすぐ仲良くなった。

「うん。いーよ。」
「よっし!あとは、女子な。誰誘う?」
「誰でも。料理上手な子がいいなぁ〜。」
「完全同意。」

ほかの男子もそれぞれに2人ペアを作ったところらしく、どの女子と組むか相談していた。女子の方もどの男子と組むか話しているようだ。

「なぁ、後ろの2人誘わない?」
「え?」

後ろの2人、星川さんと前川さんだ。

「あの2人、可愛いから男子の中ですっげぇ人気じゃん。せっかく席近いんだから仲良くなりたいなって。」

なるほど。たしかに仲良くなりたいかも。特に星川さんは人見知りっぽいし。話すきっかけがほしい。

「そうだね。じゃあ誘ってみよ。」
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