悪女のなり方

私という人間


「みさちんは、オーナーのことが好きなの?」


平日夕飯どきのこの時間。リーズナブルな値段と見た目の気安さが売りのファミリーレストランはいつも老若男女問わずに賑わっている。


うちの店とは大違いだ。


私は週に一度の休みの晩、同じバイト先の先輩と二人でご飯を食べにきた。




わたしの唯一の秘密を知ってる先輩…あかりちゃん。



注文をした後にいきなり繰り出された発言に、私は思わず火をつけたばかりのタバコを落としそうになった。



取り乱すな、わたし。
気づかれないようにタバコを安全圏(灰皿)におき、ふうと一息つき、質問に答える。

「うーん、わからないんですよね、それが。」

正直な意見。



オーナーが好きといえば好き。
だけど、恋愛対象として好きなのかなんて、正直わからないのだ。


事実、私達はまだ体を繋げてはいない。
越えてはいけない一線をまだ越えてはいない…はず。

「そっかぁー、いつからそんな微妙な関係になったんやっけ?」
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