悪女のなり方
私だって、彼以外にも最後まで貫いてくれて、そして別に付き合ってる訳じゃ無い男の人は、何人かいた。
自分の容姿は自覚している。はっきりとした顔立ちだと思うし、中学の時は見知らぬ他校の生徒からアドレスを聞かれるのも何回かあるし、今注目の若手女優によくにてるといわれる。
欲望の処理に、男にはさして困りはしない。
なのに、あえて私は毎夜オーナーを選ぶ。
無意識にリダイヤルを見れば、等間隔に現れるオーナーの名前。
オーナーだって、きっと待ってる。
見た目だけは、大人っぽいね。可愛いね。と言われる私の姿を。
だって、中年の男が10代の美少女の肌に触れるんだよ?
お得じゃない?
いつも冗談で投げ掛けるからかいの言葉を思い浮かべ、少し自画自賛すぎるよな。と思いながら。
私は今日も意味のない真夜中の密会へと彼を誘う。
慣れたように踊る親指が示した番号に、彼を誘う。
寒さに震える夜、暖かいオーナーだけを思い浮かべて、そっと紫煙吐き出しながら―……