月が綺麗ですね
今まで何人かの人とお付き合いをして来たけれど、私をここまで想い大切にしてくれる人は徹さんが初めてだと思う。

元カレはお互い学生というのもあって、まだまだ考え方が幼かったことも、自分のことで精一杯だったこともあったかも知れないけれど...。


社会人になってからは彼氏はいなかった。仕事が忙しくて彼氏を作る暇が無かった。
いや...私がただ単にモテなかったとも言える。あはっ、常に彼氏が欲しいとは思っていたけれど、出来なかったなぁ。


そして社会人になって初めて出来た彼氏が...今私の隣で車を運転している徹さん。

時々彼の優しさが怖い時がある。

これは夢でいつか醒めてしまうんじゃないかって。



そんな彼に私はちゃんと応えられているのかな?

与えられるだけ与えられておいて、私は彼に何か返せている?彼の役に立っている?

逆に不安になることもある。


そんな時、徹さんは『風花がそばにいてくれるだけでいいんだ』

そう言ってくれる。


幸せが怖いなんて贅沢すぎるよね。


そっと瞳を閉じると瞼から涙がにじみ出してきた。

胸の奥から沸き上がる感情。


この幸せがずっと、ずっと続きますように。


私は心の中で誰にも悟られずに願うのだった。
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