月が綺麗ですね
次の日、私はいつものように家を出ると、エレベーターで1階まで降りて薄暗いマンションのエントランスを歩いていた。


えっ!?


思わず足を止める。


「...徹さん」

「体調はどうだ?」


壁にもたれていた体を起こし、私のほうへ歩いてくる。


「もうすっかり。昨夜はぐっすりと眠れましたから」

「それなら良かった。じゃあ、行くか」


彼は私の腰に腕を回すと歩き出す。


「どうして?」


私の問いかけに徹さんは不思議そうな顔をした。
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