月が綺麗ですね
夜道を車で数分。

着いた場所は...。


「ホテル...ですか?」

わずかな不安に彼を見上げると、


「...いや」

短く答えただけだった。


.....?


ホテルの脇を通り過ぎ、陽の落ちた林の中の石畳を手をつないで歩く。足元を照らす明かりだけが頼りだ。

視線の先には大きなたたずまいの所々から光が洩れている建物が見える。



「これは何ですか?」

「入れば分かるさ」


もうっ、相変わらず意地悪だな。


近づくにつれて全貌がはっきりと視界にとらえられてくる。
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