月が綺麗ですね
「ここは明治・大正期のキリスト教指導者として有名な.....」

「あっ、私その人知ってます。歴史の授業で習いました」


満足そうに頷く徹さん。


「でも...」

私は彼を見上げる。


「難しい話はこれで終わり」

背伸びをして徹さんの口に右手の人差し指をあてた。


純粋にこの場の雰囲気を楽しみたかった。


瞼を閉じれば水音がパイプオルガンが奏でる讃美歌のように聞こえるし、ロウソクの小さな光が作る影がたくさんの天使に想像出来なくもない。


こんなに感動したのはいつ以来だろう?

両手を広げて全身で感動を表現したいくらいだ。
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