月が綺麗ですね
「やっぱり六ツ島さん、お前と五十嵐を二股にかけてたのか。これでハッキリしたなっ!」

そう吐き捨てると、弘くんは私をおいて凄い勢いで徹さんといがちゃんを追いかけた。


「あ、待って弘くん」

私の制止は虚しく、街に飲み込まれるだけ。



「六ツ島さんっ!!」


弘くんの呼びかけに驚いたように二人が振り返った。


「菱倉?」

「菱倉くんじゃない、偶然ね」


いがちゃんは慌てて徹さんに回していた腕を外した。

弘くんの双肩は震えている。



「あんたのせいで風花がどれだけ傷ついていると思ってんだよっ!?」


今にも殴りかかりそうだ。
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