月が綺麗ですね
二階に上がり自室のドアを開けると、よどんだ空気が鼻をつく。

ここへ帰ってくるのはお正月以来だ。


「浩史ったら、空気の入れ替えしてくれてないんだ」



私はカーテンを開け、さらにサッシを開け雨戸を開けると、東京よりも澄んだ冷たい空気が窓から一気に流れ込んでくる。


「やっぱりこっちの方が空気はキレイだな。星も良く見えるし」


窓辺に座り、外を眺める。


高台にある実家からは仙台の街の夜景が良く見えた。

ここだって東京とたいして街並みは変わらないのに、どうして暖かいんだろう。車の通行量だって林立するビルの数だって、人波だって大差ないのに。


「...不思議だな」
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