シンさんは愛妻家
15分ほどで古そうな単身用と思われる2階建のアパートに着く。

これって若い女の子が住む部屋じゃないな。
セキュリティーとか、危機管理とかどうなってるんだ。
いや、この子はオンナノコだけど女の子じやない。
ややこしいな。
と不機嫌な顔になりながら、彼女を抱えて階段を上がる。


2階の1番奥。と彼女が小さな声を出した。

廊下を歩く途中でドアが開き、人相の悪い中年男性がすれ違う。

こいつは隣の隣か?

なんでこの子はこんなところに住んでるんだ?


ドアの前に立つと

「先生、ありがとうございました」
と頭を下げる。

「いや、いい。とりあえず、部屋に入れて。
別に君を襲うつもりはない」

「…そんな事は思ってないんですけど…
先生…ネコ嫌いじゃないですか?」

ネコ?

「…どうしても帰りたかった理由はそれか?」

「1ヶ月前くらい前に捨てられてて…ぐったりしてたのを見たら…
ほっておけなかったんです…だから…」

「いいから、ドアを開けなさい」

と僕が言うと、鍵を取り出してそうっとドアを開ける。

にゃあにゃあ

と言いながら子猫が彼女の足にまとわりつく。

「ただいま。タビィ」

「まだ、子どもだな。」と呟いてネコを摘み上げると、

ふー!

と怒っている様子だ。

< 14 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop