シンさんは愛妻家
僕は狭い部屋のまん中にどっかり座り込み考えを巡らせる。

乗りかかった船だ。


きっと僕はこの女の子(男の子?)を放っておけないだろう。

猫を拾っただけなのに彼女はとても困った事態に陥っている。

放っておけなかったと言った真面目な瞳を
僕も放っておけなかった。

面倒は嫌いなのに…

彼女の浅い寝息が聞こえて来る。
熱が高くて辛そうだ。

子どものネコも彼女の足元で丸くなって眠っている。

やれやれ。

泣きながら眠ってしまって子どもみたいだと思いながら
そっと髪を撫でる。
ミルクティーみたいな髪の色だと少し微笑み、
いや、この子は男の子だったと混乱する。


僕は周囲を見回し、大きな紙袋を見つけて、
衣類の入っていそうな引き出しをおもむろに開ける。

まあ、美しい下着とは言えないけれど、
清潔そうなスポーツ用の下着が並んでいる。
とりあえず手前のいくつかを見繕って入れ、
次々、引き出しを開けて必要そうなものを放り込む。

よし。と…

僕は荷物を車に乗せて買い物に行き、一本電話をかける。


そして少し熱が下がって来たのを見計らってそうっと彼女を起こす。

「有沢さん、起きて、出かけるよ」

「はい?…どこに?」

「ネコと一緒に居られるところ。
でも、タビィは健康診断が済んでからね。」と僕は微笑み、彼女を支えて起こした。








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