シンさんは愛妻家
メンドクサイのは嫌いです。
部屋に入って彼女をリビングのソファーに寝かせ、僕の上着をかけておく。

「冷たくて気持ちい」と呟くように言って革張りのソファーに顔を付けて、息を吐き出し、身体の力を抜いたみたいだ。

「眠らないでね。今ベッドを用意するから…」

「…はい…」

と返事をしているけれど…きっとダメだな…
と目を閉じている彼女をチラリと見てから、玄関に近い部屋の中に入る。

この部屋にあるシンプルなベッドは
家族になりたかった彼女の息子に用意したものだ。
(もちろん彼女は僕の寝室で同じベッドに寝せるつもりでいた)
子供部屋にするつもりでいたからきれいに片付けて置いてあった。
使うことはなかったけど…


シーツをタオルケット。毛布に羽毛ぶとん。
全部ブルーで揃えて置いたんだった。
と少し思い出す。

今更、役に立つなんて…と思いながら布団を用意する。


リビングに戻ると、彼女はソファーの上で深く眠っているようだ。

声をかけても起きる様子はない。

僕は諦めて上着を脱がせ、
少しためらってから、セーターとジーンズに手をかける。
あまり見ないようにして
用意しておいた僕のパジャマに着替えさせ、彼女を抱き上げ、ベッドに運んだ。

やれやれ、
目が覚めたら
また、面倒なことになりそうだ。

と思いながら遅い夕食を作って食べる事にした。



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