シンさんは愛妻家
翌日の朝、

少し早起きして、彼女の食事を用意して洗濯を済ませ、

彼女の部屋をノックして、部屋に入り、熱を測る。

解熱剤が切れた頃だが、熱は38度程。

下がってきてるかな…


「食事を用意してあるから起きられるようになったら食べて。
冷蔵庫にほうじ茶を冷やしてあるから水分は十分摂るように。
熱が高くなったら、解熱剤を使って。
僕は仕事に行く。
スマホ貸して。連絡先を交換しよう」

と言うと、
上着をを指すので、部屋にかけた服の上着のポケットを探ると、すぐに見つかる。
スマホを渡そうとすると、

「…暗証番号は0220…です。」

「…教えなくてもいいけど…」

「あっ…」と彼女は顔を赤くする。

僕は呆れながらもロックを外し、アプリを起動してお互いの連絡先を交換した。


「…メッセージきてるよ」
と彼女にスマホを渡すと、ルリ子さんだ…とつぶやいている。

…お隣のお姉さん。と仲が良いんだな。と思いながら

「行ってくる」とドアを閉めると、

「いってらっしゃい」

と柔らかい声がして思わずどきりとする。


…こんな子どもの『いってらっしゃい』に動揺してどうする。

…僕の心は結構弱っているなと

靴を履きながら少しため息をついた。

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