シンさんは愛妻家
ほろ酔いで家に帰ると、

タビィが迎えてくれたけど、フンフンと匂いを嗅いで
お酒くさいのかピューっと逃げて自分の寝床と決めているクッションに戻っていった。

僕はクスクス笑いながらリビングに入ると、

イブキがソファーから起き上がって僕を見る。


「おかえりなさい」と寝ぼけた顔だ。

「子どもは早く寝なさい」

と僕が言うと、


「はい」と少し笑って僕を見ている。

うん?とイブキを見つめると、


「先生が帰ってきて嬉しいなって…思って…」と顔を赤くする。


うむ。

「早く寝なさい」ともう一度行って冷蔵庫に水を取りに行く。

ゴクゴクと水を飲み干し、はあ、とため息をついて目を閉じると少しふらつく


「だ、大丈夫ですか?」

とイブキが身体を支えてくれる。


「うん。大丈夫。寝なさい」

とイブキを見ると、

僕の顔を見て唖然とした顔をする。


どうした?

「…先生、香水の匂いがしますっ!」

とグルンと後ろを向いてバタバタと自分の部屋に戻って行く。



おまえは猫か?!


こら、僕の女関係に口を出すな

という言葉は

僕の口から出ることはなかった。



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