シンさんは愛妻家

僕が家に帰ると、

慌てたようにイブキとタビィが走ってきた。

「今日は、遅くなるって言っていませんでしたか？」

と驚くイブキに

「ああ、電話忘れたな。ごめん」

「いっ、いいえ。
ここは先生の家です！
もちろん、帰って来てくれて嬉しいです！」

と思わずという感じでいい、

「って…タビィが言ってると思います」

と真っ赤になって言い訳をしているみたいだ。


僕は少し心が軽くなる

少なくとも、僕はイブキに嫌われている訳じゃない。

と思って少し微笑む。


リビングに入ると知っている匂いが漂っている。

「カップ麺？」

「ごめんなさい！
い、彩りを考えなきゃいけないって思ったんだけど…
先生がご飯いらないんだって思ったら
つい…」とイブキは小さくなって僕の横で佇んでいる。

「僕ももらおうかな。
たまにはサボってもいいよな」

と言うと、パッと顔が輝き、
「塩味と醤油と、豚骨とカレー…と」

と言うので

「こら、いくつ食べるつもりだ？」

と頭をクシャと撫でるとみるみる真っ赤になって

「お湯、沸かします！！」

と不自然にギクシャクと歩き出す。

着替えてくるよ。と寝室に入っていくけと、足が止まって顔を覆って笑ってしまう。


本当にイブキはわかりやすいよ…

気持ちが溢れて

溢れて…

いまにも

口から飛び出してしまいそうだ。