シンさんは愛妻家
薄暗い部屋の中で声が聞こえる。

「タビィ、これからどうしようか?
どこに行ったらいいかなあ?
一緒に施設に戻って働く?」

とグズグズと鼻をかむ音がする。

タビィが僕の足音を聞きつけ、ダッシュで走ってくる。

「タビィ、いい子にしてたか?」

と僕がタビィを抱き上げて部屋の中を覗くと、

イブキが布団に包まって驚いた顔で僕を見上げている。


「せ…先生?!どうして…」

と慌てて布団の上に座り込む。


「…黙っていなくなるなんてイブキはいい子じゃないな。
僕がどれだけ心配したかわからないのか?」


「ご、ごめんなさい…
でも…嫌われたくなかったの…」

ヒクヒクと震える声。

と真っ赤な鼻の頭はずっと泣いていた印。
ポロポロ落とす涙は僕をまだ好きな証(あかし)。

「…何があった?
ちゃんと話して」

そっと近寄り一緒に布団の上に座ってゆっくり抱き寄せる。

怖がらせないように

ゆっくり
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