シンさんは愛妻家
イブキは僕の胸に顔を付け、

「先生が好き。
…大好き。」

と泣きながらなんどもいう。

嫌われた訳じゃあない。って事か…

「どうした?」と聞くと、



「…先生が独身主義だって聞いてたから…
ずっとずっと恋人でいて一緒にいようと思った。
先生と一緒にいると
すごく楽しくて、幸せで…
でも…生理が来てないの…
妊娠したのかもって…
子どもができたら…
恋人じゃいられない…って
先生に嫌われるって…
でも、お腹に先生の子どもがいるって思ったら嬉しくて…
どう話したら、このまま一緒にいられるのかわからなくて…」

なんだ。

そうか。


「独身主義っていうのは誰かを好きになって振られた時の言い訳だよ。
それに今まで、好きになった人は僕を選んでくれなかった。
でも、
イブキは違う。
僕が好きになって僕を好きだっていってくれた人だ。
今までとは全然違うんだ。
僕はイブキにずっとずっとそばにいて欲しいって思ってたけど、
ずいぶん年上だったから、ずっと好きでいてもらえる自信がなくて…
なかなか言えないでいるうちにイブキがいなくなった。
僕はイブキがいないと、食事も美味しく ないし、眠れないし、元気が出ない。
イブキは僕にとって特別な人だよ。
帰っておいで。
イブキ、僕と結婚してほしい。
一緒に子どもを育てよう。」

「…先生…結婚していいの?」

「もちろん。
イブキと一緒にいるようになって、
誰よりもそばに居たいって
…そう願うようになってた。
イブキを失いたくなくて、新しいマンションなんて探せなかった。
このまま、ずっとここにいてくれるかもしれないって…
子どもが出来たからじゃないよ。
イブキとずっと一緒にいたいんだ。
僕のものだってキスマークをつけるだけじゃ足りない。
同じ指輪をつけて
永遠の愛を誓って欲しい。
愛してるよ、イブキ」

イブキはがむしゃらに僕に抱きついてくる。

「…一緒にいたい
ずっとずっと一緒にいたい。
…先生、結婚してください。」

と言いながら、イブキは僕にしがみついて泣き声をあげた。




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