シンさんは愛妻家
「…よかった」

と僕は心から安堵して、ぎゅっとイブキを抱きしめ、すっかり忘れていたタビィを目で探すと、

後ろの扉からタビィを抱いたルミ子さんをはじめ、沢山のオネエサンたちが、ぎゅうぎゅうと
僕達を見てウルウルと涙を流している。

ちょっとは遠慮をして欲しい

と思ったけど、僕がため息をついて頷くと

「イブキぃ!よかったわねえ」
「おめでとう」

など口々に言いながら、
興奮した様子で部屋になだれ込んできて、

僕をドン!と押しのけ、イブキを抱きしめ
頭を撫でたり、肩を叩いたり、
頬にキスをしたりして揉みくちゃにしている。

「こら、俺の嫁に勝手に触るな」

とゴツいオネエサンに文句を言うと、

しょうがないわねえ

とルミ子さんが僕の頬にチュウー!!
とキスをくれた。

えええ?

今の絶対、跡が付いたんじゃないか?

男のキスマークなんて欲しくないー!!


と騒ぐと、ほかのオネエサンが、

あたし達オンナよお。

とガッシリと僕を押さえこみ、次々にハグとキスの雨を降らせた。


勘弁して欲しい。

後で鏡を見ると、

口紅とキスマークが首や耳の後ろにきっちり付いていた。

もちろんルミ子さんのキスマークも
頬に痣のように内出血にができていた。

やれやれ。
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