シンさんは愛妻家
イブキとタビィを連れて車に乗り込む。


「先生…もう、婚姻届を出すの?」

「こら、イブキ、まだ逃げるつもりか?
それに俺は『先生』って名前じゃない」

「あっ、そうでした。し、…シンさん…逃げようなんて思ってませんけど…」

「じゃ、何?」

「あ、あの…もし…妊娠してなかったら…」

「…ゆっくり新婚生活を楽しむのもいいって思ってるよ。
でも、僕は43歳だから出来れば子どもが早く欲しいかな…」

まあ、去年返された養育費で子どもひとり分くらい十分育てられると思うけどね

「…私も子どもが欲しいです。
家族を持ちたいって…憧れていました」

「じゃ、子どもが出来ていなくても、出来ていても問題ないね。」

と僕はイブキの髪をくしゃっと撫でて微笑みかけ、

エンジンをかけて車を発進させる。

イブキは目に涙をためて何度もうなずいている。


僕は少し強引に結婚を決めささせたって思っているけど…

もう、2度とイブキに逃げられないように

さっさと僕の檻に閉じ込めておかないと…

仕事が終わって家に帰ったら、恋人がいなかったなんて

こんな事が何度もあったら、

僕は心臓がもたない。


と思いながら僕は道の途中で電話をかけて友人を捕まえ、昔働いていた病院に向かう。

きっと救命にいる友人は僕の結婚を祝福してくれるだろう…

あいかわらず、手が早いとか言われそうな気がするけど…
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