シンさんは愛妻家
区役所で届けを出し終えて車に戻る。

イブキは涙が止まらず、

職員の人におめでとうございます。と言われながらテッシュを差し出される始末だ。


とても恥ずかしいけれど、

嬉しそうに泣き笑いをしているイブキが愛おしくて

車の中でそっとくちずけする。

「シンさん、私はとても幸せです」

と僕の胸に寄りかかるイブキに

「困るな。これからもっと幸せになる予定なのに…」

と笑った声で言い、

「さて、次はマリッジリングしようか?」

「指輪なんてなくてもいいです」

「いや、してもらうよ。
イブキは人妻だって世間に知ってもらわないと…
僕が…困る。」


と顔をしかめ、僕は駅の前にあるデパートに車を入れる。

地方のデパートでも、ブランドものなら同じものが買えるだろ?

高級イタリアンブランドの店の前で

足がすくんで動けないイブキの腕を取って入り、

お揃いの金色の細い指輪に選んでつける。

緊張して、指が震えているイブキのエンゲージリングは

カタログをもらって後で選ぶことにする。


これから、大事なイベントが待っているからね。


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