愛縛占欲~冷徹エリートは溺愛を手加減しない~
「だからさ、どこから見てたのかなって聞いてるんだけど?」
「あ、あの……っ。すみませ、告白の辺りから……」
とん、と背中にドアがあたり、すぐ目の前に一ノ瀬さんの顔がある。その瞳はまっすぐに私を捉えて離さない。
思わず息をのむ。
緊張からか、変な汗が額から流れた。
「チッ、めんどくせぇことになったな」
この人は一体誰だろう。
瞬きしても状況は変わらないのに、何度も瞬きして状況を確認してしまう。
「口止め、しなくちゃなあ?」
ーー逃げなくては。
体の防衛本能が危険だとサイレンを鳴らす。
私は彼に背中を向けるとすぐにドアノブを捻って、外に出ようとした。
「あっ……」
しかしそれはガチャガチャと虚しく音が響くだけ。
「さっきちゃんと閉めたよ」
「……っ、」
耳もとで静かに囁かれ、かあっと顔が熱くなる。
まるで時を止められたように動けなくなった私に一ノ瀬さんは追い打ちをかけるように言った。
「逃がすわけないだろ?」
ドアノブに触れている私の手を上から重ねて自らの手を添える一ノ瀬さん。
もう逃げられない。
「こっち向けよ」