愛縛占欲~冷徹エリートは溺愛を手加減しない~
ドキン、ドキンとうるさく鼓動を響かせる心臓。頭は真っ白で何も考えられなかった。
されるがまま、くるりと体を反転させられると、嫌でも目が合う。そしてぐいっと私のアゴを持ち上げると、彼は言った。
「なあ、口止め料は何がいい?」
「……え」
妙に色気のある声で囁き、私の肩まで伸びた髪にそっと手を伸ばす。ふわりと掴みあげ、手先で少し遊ばせるとその髪を私の耳にかけた。
その間も一ノ瀬さんは一切視線を逸らさない。
「……んっ」
彼の指が耳に触れ、私はびくりと体を揺らした。
「相手、してあげてもいいよ」
耳元で囁くように甘い言葉を投げかける。
これは王子なんかじゃない。
まるで悪魔のようだった。
ぞくり。背筋が凍る。
すると、一ノ瀬さんは鼻で笑った。
「見られたのが朝比奈で良かったよ、上手く丸め込めそうでさ」
遠くでそんな声が聞こえたかと思ったら、そのままグイっと引き寄せられて、唇を奪われる。
「……っ、ん!」
強引に重ねられた唇。とっさに一ノ瀬さんを押し返してもビクともしない。
「んぅ、う」
何度も重なったキスは次第に深くなっていきゆっくりと唇を割り入ってきて、上顎をくすぐった。
「んっ……」