愛縛占欲~冷徹エリートは溺愛を手加減しない~
パタンとドアが虚しく音を立てて閉まっていく。
「い、一ノ瀬さん?」
「とりあえずそのうるせぇ口を閉じろ」
悪魔が正体を現した。
「お前、さっき白石に何言おうとした?」
じりじりと距離を詰めて責め立てる。私のすぐ後ろにはドアがあり、行き場を塞いでいる。
昨日と全く同じ状況になっている状況に気づいて私は焦った。
「な、何も」
「俺のこと言おうとしただろう」
「そ、そんなことは」
思わず声が上擦ってしまう。こんなんでは、そうだと白状しているのと同じだ。
一ノ瀬さんはじっと私を見つめる。目をそらすとアゴを軽く持ち上げられ、強引に目を合わされる。
「面倒なことさせんなよな」
はあ、と深いため息をついたかと思ったら、その厚みのある唇を私の耳元に運ぶとそっと囁いた。
「足りなかったんなら、ちゃんと言えよ」
「へ……っ」
何を言われているのか分からず、頭で処理しようとした瞬間、唇が重なった。
「んん~~っ」
私の唇を塞ぐようにキスをして、角度を変えて啄ばむように激しく触れる。
ぞくぞくと這い上がってくる感覚を止めることも出来ず、力の抜けた体はそのまま舌の侵入も許してしまう。
「っふ、んぅ……」
時折漏れる自らの声に耳を塞いでしまいたくなっても、一ノ瀬さんは私の手を掴んだまま離してくれなかった。