愛縛占欲~冷徹エリートは溺愛を手加減しない~
一ノ瀬さんの熱がじわじわと私の体を侵蝕していく。
「はあ……はぁっ」
酸素を取り込む時すら与えてくれず、完全に体の力の抜けきった私は膝から崩れ落ちると、ようやく解放された。
一ノ瀬さんが私の腰を支えてくれていないと立ってられない状況で、呼吸を必死に整える。
「つーか、この程度で腰抜かしててこの先もつのかよ」
「はぁ……っ、?何を言って」
「俺と体の関係が欲しかったんだろう?」
「はあ?」
思わず大きな声が出てしまった。
どうしてそんな話になるのか。
一ノ瀬さんが何を言いたいのか、サッパリ分からなかった。
「口止め料、昨日のキスじゃ足りなかったから白石に話そうとしたんだろ?」
「ち、違います!」
「じゃあなんで言おうとしたんだよ」
「それは……」
一ノ瀬さんにじっと見つめられ、私は目を逸らした。
っていうか、なんで私が責められてるの?
一ノ瀬さんに裏の顔があることを言うか言わないかは私の勝手じゃない?
腑に落ちない。
そもそも私は一ノ瀬さんに被害しか加えられていない。
一方的にキスされて、黙っとけって、そんなのどう考えても理不尽だ。
思い返したらふつふつと怒りが湧いてくる。
「言うか言わないかは私の勝手です」