愛縛占欲~冷徹エリートは溺愛を手加減しない~
そう言って書類を渡すと、彼はすぐそれに目を通した。
真剣な表情にどきりとする。
まつ毛が長くて整った顔立ち。
いつ見てもキレイな顔だなと思う。
じーっと見つめていると確認し終えた一ノ瀬さんは顔を上げた。
「うん、よく出来てる。短い時間で頑張ったな」
「ありがとうございます」
その言葉に思わず頬が緩んだ。
ふたりきりでも褒めたりするのはちょっと意外かも。
緊張感から解放され、ようやくほぅと息を吐く。一ノ瀬さんはパソコンの電源を切ると、カバンを持ちながら私に言った。
「よし、飯食いに行くぞ」
「えっ!」
驚く私をよそに平然と答える一ノ瀬さん。
「なんだよ、明日休みだろ?それとも用事でもあんのか?」
「用事はないですけど……」
まさか一ノ瀬さんからそんなこと言われるなんて思いもしなかった。
ちらりと彼を見る。でも待てよ?今日の昼休み、お前をオトすって言われたばかりの人と食事ってどうなんだろう。
っていうか私、一ノ瀬さんにキスされてるし正直、危ない予感もする。でもちょっと考えすぎ?向こうは普通に誘ってくれてるし、ちょっと自意識過剰?
そんな考えを巡らせていると、彼はふっと笑った。