愛縛占欲~冷徹エリートは溺愛を手加減しない~
彼の説明はこうだった。
まず、酔った私にコンビニで買った水を渡し飲ませそうとした。けれど、私はそれを受け取らず、一ノ瀬さんが飲んでいた缶コーヒーの方がいいと言って、引っ張り上げたらしい。
口の空いていたコーヒーは案の定飛び出し、私の服にも一ノ瀬さんの服にも飛び散ったという。
このままじゃラチがあかないので、タクシー乗せて帰そうとしたところ、私がそのまま寝てしまったため、住所を聞き出せず……。仕方なく一ノ瀬さんの家に連れて来られたのだ。
服を着ていないのは染みにならないようすぐに洗濯をしてくれたためであった。
「本当に捨ててやろうかと思ったわ」
「す、すみませんでした……!」
本当に頭が上がらない。
まさか、自分がそんな事をしていたなんて。挙句の果てに勘違いまで……。
恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
「これで分かったか?」
一ノ瀬さんの視線が痛く突き刺さる。
「本当にすみませんでした……あの、クリーニング代をお支払いしてすぐ帰りますので」
肩を丸めてそう言った時、彼は眉をひそめた。
「は?まさか散々迷惑かけといて、そのまま帰るなんて言わねぇよな?朝比奈」
弧を描くように持ち上がった唇に笑ってない瞳。