愛縛占欲~冷徹エリートは溺愛を手加減しない~
第一印象はパッチリした目のせいで大抵怖いと言われてしまうけれど、カジュアルな服が許されているお陰で最近はあまり言われなくなった。
うちの会社には新卒として入り、早いものでもう4年目になる。
「隣の部署の三隅さん、結婚したんだって~」
「知ってる、社内恋愛だったんでしょ?」
「そうそう。よりによって一ノ瀬さんの次にモテる吉澤くんよ?もう女子たちが残念がっちゃって……」
「こりゃ、一ノ瀬さんにいく女子もさらに増えるんじゃない?」
結婚。
そのワードは社内で頻繁に聞こえてくる言葉のひとつだ。
結婚の話を聞いていれば、そりゃあ私だってそろそろ意識する年ではあるけれど、何より相手はいないし目立つ社内恋愛は避けているため出会いが一切無かった。
もともと自分から積極的に動けるタイプでもなく、何もないまま歳ばかり取り気づけば周りは結婚をして家庭を築いていた。
だんだんと取り残されていくことに焦ってはいるけれど、自分の内気な性格が邪魔をして進むことが出来ない。
あの日から私はちっとも変わっていないーー。