愛縛占欲~冷徹エリートは溺愛を手加減しない~
「ちが、」
「違くねーだろ」
被せるように放った一ノ瀬さんは私の顎を片手でくいっと持ち上げる。
「もう1回してやろうか?」
指の腹でするりと私の唇をなぞる。ぞくん、と背中が疼いたと思ったらすぐに唇が重なった。
「んっ……!」
ちゅっというリップ音と共に、すぐ舌が差し込まれ私の吐息を奪っていく。
「ほら、期待した」
してないのに。なんて言う間も無くて、舌と舌が触れて、ゾクリと腰から這い上がってくる感覚に頭がついていかない。
「……んっ、ぅ」
ヤバい、クラクラする。
ぼやける視界、高まる熱。
「……っ、ちのせさ」
唇が少し開いたタイミングで空気を取り込んでもすぐに舌が奥へと入ってくる。
「ん、ん……」
優しく上顎をくすぐられて、鼻から声が抜けていく。力の全部を奪っていくようなキスに私の身体は限界を迎えていた。
「はぁ……っ」
力が抜けて身体がくたりと倒れていくのを一ノ瀬さんに支えられる。
「今日はこれで許してやる」
私の腰を支えながら余裕たっぷりの笑みを浮かべる。ムカつく、悔しい……でも逆らえないのは事実だ。
「言っとくけど、今のキスが名残り惜しいって思ったらお前の負けだからな」
ドキリと心臓が強く胸を打つ。
名残惜しい、なんて、思ってない……。