愛縛占欲~冷徹エリートは溺愛を手加減しない~
大学2年生の頃、私は同じサークルの代表と付き合っていた。
しっかりしていて、その上誰にでも優しい彼はいつも周りから注目される存在だった。
そんな彼がどうして私を選んでくれたのかは今でも分からないままだったけれど、彼から気持ちを伝えられた時、とても嬉しかった。
しかし、私はどうしても周りの目が気になってしまうタイプで、その時も周りに付き合っていることは内緒にして欲しいと彼に頼み込んだ。
人気者の彼が自分なんかと付き合ってるって知られたら、釣り合ってないって笑われるに決まってる。それが怖かった。
私の言葉に最初彼は頷いてくれたけど、秘密のお付き合いは長くは続かなかった。
ある時、偶然にも同じサークルの人に私たちのデート現場を見られてしまい私たちの関係は崩れた。
『え、お前ら付き合ってたのかよ』
『付き合ってないよ!ただ一緒に買い出しをしてただけ!』
とっさに私から出たその言葉を聞き、彼は心底ガッカリしたらしい。
『正直さ、お前のそれ全然分かんねぇわ。なんで付き合ってんのにコソコソデートしなきゃいけねぇの?なんかもう無理だわ、別れよ』
私の考えを理解出来ないと愛想を尽かした彼とはその日以来、口をきくこともなかった。