愛縛占欲~冷徹エリートは溺愛を手加減しない~
彼は10分くらいで、こっちに戻って来た。
時間帯と向かう方向、隣に女性がいないことからタクシー乗り場まで送っていったんだろう。
仕事かな?それももプライベート?
聞きたいことはたくさんあったけれど、聞くことは出来なかった。
なぜなら、一ノ瀬さんが戻ってくるなりすぐに私に質問をしたからだ。
「誰と会っていたんだ」
「えっ」
私が戸惑っていると、彼はすっと私の首筋に手を伸ばした。
「なんて、聞くまでもないか。
こんな痕付けて、あの男に抱かれたのか」
痕!?彼の言う首筋をそっと見てみるとそこにはうっすらと痕がついていた。
さっきの、吉井くんのやつだ!
ばっと手でそれを覆うがもう遅い、一ノ瀬さんはふっと軽蔑したように笑った。
「楽しかったか?前の男とあそぶのは」
「ち、違います……!」
「ああ、前の男じゃないって?寄り戻したのか」
鼻で笑いながらそんなことを言う彼。でも目は少しも笑っていなかった。
「そうじゃなくて」
「見つけなきゃ良かった」
彼は小さくつぶやくと、私を見ることなく彼は歩き出した。
「待って下さい……これは誤解ですから」