愛縛占欲~冷徹エリートは溺愛を手加減しない~



しかし、止まってくれることはなく一ノ瀬さんは少し歩いたところに止まっていたタクシーに乗り込んだ。


「私の話も聞いて下さい!」


そう言い放つと「じゃあ乗れよ」と頭で合図する。えっ、乗っていいの?考える間も無く「早く」と追い討ちをかけられ、私は思わずタクシーに乗ってしまった。


弁解がしたいがために、乗り込んでしまった。


しかし、私たちの間での会話は一切ない。一ノ瀬さんの行動が読めなかった。

どうしたら、いいんだろう。
というよりこれはどこに向かっているのだろう。


沈黙のまま車を走らせること25分。タクシーはある場所で路肩に寄せるように停車した。


「あの、ここって……」


車を降りた時、すぐ目の前には大きなマンションがあった。見覚えがある。だって一度来たことがあるから。

ここは一ノ瀬さんの家だ。


「行くぞ」

「でも、なんで……」



否応無しに歩き出してしまう。エントランスから一ノ瀬さんの住む13階に上がると家に向かうその間も会話はない。


ポケットの中を探り鍵を開けた彼は、私を家へと招き入れた。


入っていいってこと?家へ上がるけれど、どうしてこうなったのかよく分からない。さすがの私も焦ってきた。



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