愛縛占欲~冷徹エリートは溺愛を手加減しない~
そんな時だった。
朝比奈が"忘れられない"と言っていた男からメッセージが来ていることを見てしまったのは。
向こうも案外、脈無しではないらしい。
ふーん、良かったじゃん。なんて平然と思っているフリをして心では、どうしようもなくモヤモヤしていた。
なんなんだ、このスッキリしない気持ちは。
『どうせまたからかうつもりで来たんですよね?一ノ瀬さんのすることは分かってますから』
俺がわざわざ出向いた理由をからかうためだと予測する朝比奈。
そういや、俺はなんでここに来たんだろう。用事もないのに朝比奈を見つけたからと言う理由で休憩スペースに足を運ぶ。
確かに意味分からねぇな、これは。
『……それ、行くなよ』
自分の口から出た言葉。
たぶん答えは全てここにあったのだろう。それなのに、俺はこの気持ちに気づくことはなかった。
そして3日後。
帰宅しようとしている朝比奈を呼び止め、人のいない会議室に招き入れた。この後予定あるか?と聞いたのは、連れて行きたい場所があったからだった。
『え、えっと……今日はちょっと友達と飲みに……』
『そう、か』