愛縛占欲~冷徹エリートは溺愛を手加減しない~
『……好きだ、お前のことが』
一ノ瀬さんから言われたその言葉の意味が全然分からなくて、私はぱちぱちと目を瞬きながら彼を見る。
「どういう、意味ですか……」
震える声でそう聞いても彼は私から目を逸らすだけで答えてくれなかった。
「また、からかってるんですか?この家には入れてない言ってたけど、他の女の子もそうやって家に連れ込んでキスしたんじゃないですか」
「そうじゃない」
「じゃあなんですか!言ってくれないと、分かりません」
じわり、涙が滲む。
一ノ瀬さんと会ってから何でか怒っているみたいで、その理由も分からずに家に来てしまった。
家に着いたら一ノ瀬さんがキスをしてきて、そのキスは奪い取るような激しいキスと包み込むような優しいキスだった。
どうしてそんなキスをするの?
分かるわけがない。
すると一ノ瀬さんは目を逸らしたまま、静かにその疑問に答えた。
「お前が他の男に抱かれたんだと思って妬いたんだ」
「妬い、た……?」
「電車を降りる時、彼とすれ違った。それから朝比奈が改札にいて、その首筋にはキスマークが付いていて、ああそういうことかと悟った」