愛縛占欲~冷徹エリートは溺愛を手加減しない~



吉井くんにふいに付けられたキスマーク。それを見て一ノ瀬さんは勘違いしたということ?


「悟ったはいいが、言い難い気持ちになって俺は朝比奈を家に釣れこんだ。冷静さを欠いた行動だったと思う」


少し俯きがちに、静かに言う彼を見てなんだか無性に手を伸ばしたくなる。


「今まで自分にこんな独占欲があるなんて思わなかった。自分でも気づかないうちに……こんなに大きくなっていたんだな」


ぱっと顔をあげた一ノ瀬さんの瞳とぶつかった。瞳は揺れて不安げな表情。


「あ、あの……っ」


何か言わなくちゃ、そう思ったら彼は私の言葉を遮って言った。


「だからお前に本性を見られたのは間違いだったと言ったんだ」


ズキッ、と心が痛み出す。間違いなんて言わないで。

確かに、一ノ瀬さんの本性を知らなければこんなに話す機会も無かっただろう。ましてや家に来るなんて絶対に無かったハズだ。


最初は最悪だって思った。知らなければ平和でいられたのにって後悔したこともある。

でも今は……。




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