愛縛占欲~冷徹エリートは溺愛を手加減しない~
くすりと笑うと、くいっと顎を持ち上げられ目を合わさせる。
「その代わり」
すっと、なぞられた唇。キスをするんだって分かった途端に体温がドッと上がった。
「参りましたって言うまで離してやんねぇから」
口角を上げ笑ったかと思ったらそのまま唇を奪われる。
「んぅ……っん」
優しく重なった唇は少しだけ冷たくて、触れるたびだんだんと熱を帯びていくのを感じた。
「んっ、ぅ」
たくさんのキス。身体も思考も全部、溶けてしまいそうで心地いい。
「一ノ瀬さ、」
縋るように名前を呼んだら、彼は優しく手を繋いでくれた。
「夏帆、好きだ」
優しい表情。
好きだ。
一ノ瀬さんの全部が。
意地悪なところも作ってるところも、こうして優し気な表情を浮かべるところも全部。
そしてゆっくりと私を押し倒す。
「あっ、一ノ瀬さん……」
「廉」
「えっ」
「廉って呼んで」
かあ、と顔に熱が集まる。甘くって、恥ずかしい。だけどなんだか幸せで、私は小さく彼の名前を呼んだんだ。
「……廉、さん?」
「かわいいな」
まるで合格だ、とでも言うようにちゅっとおでこにキスを一つ。
重なった肌から体温を溶かして混じり合い、甘くて愛おしい時間はいつまでも続いたーー。