愛縛占欲~冷徹エリートは溺愛を手加減しない~
「それで、この痕はなんなんだ」
朝、清々しい朝の光を浴び起床した私たち。恥じらいながらもシーツを手繰り寄せる私に、不満げな顔をして彼は聞いてきた。
「えっ、今更聞きます!?ってか、この痕って」
一ノ瀬さんが言っているのは首筋についたキスマークのこと。うっすらと目を凝らさなければ分からなかった皮膚の印は濃くハッキリと印されていた。
「まぁ俺が上書きしたけどな」
「ちょっと、どうするんですか!会社もあるのに」
「あまり露出しないことだな」
もう!
一ノ瀬さんは案外独占欲が強いと思う。会社での一ノ瀬さんからは想像が出来ないけれど。
なんて、私しか知らない彼の姿を見て優越感に浸っているところ、私も大概だと思う。
「で、何があったんだ?」
ぎゅっと包み込み、逃さないとばかりに聞いてくる。温かくて、ちょっと強引で昨日の熱を思い出してしまいそうになった。
「吉井くんと飲んでいたら、彼が結構酔ってしまって。それでよろけた時に支えたら……その首すじに」
「なんでそうなる」
「酒癖が悪いんですよ、昔から」
昔からという言葉が気に入らなかったのか、一ノ瀬さんはムッと口を尖らせると私の首すじにまたキスをした。