優しいスパイス
パラパラと校内を歩く人たちを横切っていく。
感情が自分の体に収まりきらなくて、息が苦しい。
こんなに全速力で走ることなんてないから、もう肺と足が限界を迎えていて、頭が朦朧とする。
だけど、止まりたくない。
何も考えられないぐらい、息苦しくなればいいんだ。
走って。走って。
何度ももつれそうになる足を必死に動かして。
もっと遠くまで走って。
消えてしまいたい。
そう思った瞬間。
視界の端に一瞬黒い影が見えたと思ったら、右の二の腕に力強い抵抗力を感じて、引っ張られるように引き止められた。
前に進もうとしていた体が、引っ張られた反動で後ろに倒れそうになる。
「っと、危ねぇ」
背中を何かに支えられたかと思ったら、聞きなれない声が耳元に響く。
え、何!?
思考が追いつかないまま二の腕に目をやると、形の良い角ばった手が私の二の腕を掴んでいた。
誰かに引き止められた。
それだけを理解して。
ゆっくりと後ろを振り返った。
感情が自分の体に収まりきらなくて、息が苦しい。
こんなに全速力で走ることなんてないから、もう肺と足が限界を迎えていて、頭が朦朧とする。
だけど、止まりたくない。
何も考えられないぐらい、息苦しくなればいいんだ。
走って。走って。
何度ももつれそうになる足を必死に動かして。
もっと遠くまで走って。
消えてしまいたい。
そう思った瞬間。
視界の端に一瞬黒い影が見えたと思ったら、右の二の腕に力強い抵抗力を感じて、引っ張られるように引き止められた。
前に進もうとしていた体が、引っ張られた反動で後ろに倒れそうになる。
「っと、危ねぇ」
背中を何かに支えられたかと思ったら、聞きなれない声が耳元に響く。
え、何!?
思考が追いつかないまま二の腕に目をやると、形の良い角ばった手が私の二の腕を掴んでいた。
誰かに引き止められた。
それだけを理解して。
ゆっくりと後ろを振り返った。