拘束時間　　　〜 追憶の絆 〜
　今日は、出社して朝一番にプレゼンテーションがある。

　そして、このプレゼンで俺が負けたら、浦田さんは沙綾を食事に誘うと言っている。

　たとえ、俺とのことがなくても。浦田さんのような軽薄な男に沙綾を絶対に渡すわけには行かない。

　ーー　俺は気負っていた。

　とにかく、プレゼンを成功させて昼休みに沙綾へ電話しよう......。

　きちんと謝って。それから、話をしなければ......！


　ーー　午前10時。課長、部長が参加してプレゼンが始まった。

　一課、二課の社員が対面に座り、プロジェクターにそれぞれ持ち寄った資料をもとにプレゼンテーションしていく。

　スムーズにプレゼンを進行していく浦田さんに俺はいつも以上に闘争心を駆り立てられた。

　やがて、俺の番になり。浦田さんが考えたものよりも有益な企画であることを上司に果敢にアピールした。

　そして、およそ90分間のプレゼンは終了して、あとは上層部に判断が委ねられる。

　仕事に関しては、やるべきことはやった　ーー。

　午前中の仕事が片付いたのは昼を少し過ぎた頃だった。

　俺は、沙綾に電話を掛けようとスマホを手に取った。

　彼女の方からは電話もLINEも来ていなかった......。

　俺は不安に駆られた。

　ーー　沙綾と話がしたい。

　休憩時間は限られている。俺は急いで彼女へ電話を掛けた。

　すると、彼女のスマホの呼び出し音が鳴り始めた......。

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