拘束時間 〜 追憶の絆 〜
マンションへ向かっている途中のタクシーの中でも、俺は彼女へ電話をかけた。
しかし、案の定。無機質な留守番電話のメッセージが流れ続けるだけで、繋がらない電話の回数が増えるたびに俺の胸騒ぎは大きく膨らみ続け、このまま心臓が破裂してしまうのではないかと思うくらい激しい動悸に見舞われた。
料亭からマンションまでのおよそ30分間の道のりを、人差し指を車のドアノブに叩きつけながら気を紛らわせた。
ようやくマンションへ着くと急いでエントランスへ滑り込み、エレベーターまで駆けた。ゆっくりとドアが開き、俺はエレベーターの中へ身を投げた。
シースルーエレベーターの外に広がる街の情景は車の流れも人の動きも、やけに余裕があるように見えて俺を苛立たせた。
長すぎる旅路を終えて、やっと部屋の前まで辿り着きカードキーを通して、部屋のドアに手をかけた。後にも先にも、この時ほど心臓の鼓動が早くなったことはない。
心臓の鼓動とは対照的に極めてゆっくり部屋のドアを開けると、その中は真っ暗で。その事が、銃で胸を撃ち抜かれたような致命的な痛みを与えた。
彼女は......??
「沙綾ーー.......っ」
俺は迷い猫を探すように優しく、真っ暗な部屋の彼方へ呼びかけた。
暗闇に俺の声だけが響き、彼女からの返事がないことが焦燥感を煽って歩を進める気力になった。
しばらくの間、暗闇の迷路を彷徨って。昨夜彼女の姿を確認した寝室へ。
「沙綾っっ!!」
「......」
俺が最後に彼女を見た時と同じ状態。
広いキングサイズのベッドの上で、彼女は小さな身体を丸めていた。
その姿はあまりにも弱々しくて、触れたら壊れてしまいそう......。
それでも。放っておけば寒々しい夜の暗闇に巻かれて、うさぎのようにか弱くて寂しがりやな彼女は死んでしまうかもしれない。
温めなければ。
俺は彼女の小さな身体を優しく抱きしめた......。
しかし、案の定。無機質な留守番電話のメッセージが流れ続けるだけで、繋がらない電話の回数が増えるたびに俺の胸騒ぎは大きく膨らみ続け、このまま心臓が破裂してしまうのではないかと思うくらい激しい動悸に見舞われた。
料亭からマンションまでのおよそ30分間の道のりを、人差し指を車のドアノブに叩きつけながら気を紛らわせた。
ようやくマンションへ着くと急いでエントランスへ滑り込み、エレベーターまで駆けた。ゆっくりとドアが開き、俺はエレベーターの中へ身を投げた。
シースルーエレベーターの外に広がる街の情景は車の流れも人の動きも、やけに余裕があるように見えて俺を苛立たせた。
長すぎる旅路を終えて、やっと部屋の前まで辿り着きカードキーを通して、部屋のドアに手をかけた。後にも先にも、この時ほど心臓の鼓動が早くなったことはない。
心臓の鼓動とは対照的に極めてゆっくり部屋のドアを開けると、その中は真っ暗で。その事が、銃で胸を撃ち抜かれたような致命的な痛みを与えた。
彼女は......??
「沙綾ーー.......っ」
俺は迷い猫を探すように優しく、真っ暗な部屋の彼方へ呼びかけた。
暗闇に俺の声だけが響き、彼女からの返事がないことが焦燥感を煽って歩を進める気力になった。
しばらくの間、暗闇の迷路を彷徨って。昨夜彼女の姿を確認した寝室へ。
「沙綾っっ!!」
「......」
俺が最後に彼女を見た時と同じ状態。
広いキングサイズのベッドの上で、彼女は小さな身体を丸めていた。
その姿はあまりにも弱々しくて、触れたら壊れてしまいそう......。
それでも。放っておけば寒々しい夜の暗闇に巻かれて、うさぎのようにか弱くて寂しがりやな彼女は死んでしまうかもしれない。
温めなければ。
俺は彼女の小さな身体を優しく抱きしめた......。