拘束時間   〜 追憶の絆 〜
いつの間に俺は眠っていたんだろう ーー?

今夜は、彼女の揺りかごになって朝日が昇るまで彼女を見つめていよう。そう思っていたのに......。

やはり、彼女が傍に居ると俺は理由もなく癒されて夢の世界に誘われる。

時計を見ると午前6時半。

街は既に新しい一日を迎えて動き出しているようだ。

俺は彼女を起こさないように、そっとベッドを抜け出した。

よかった......。

俺の腕の中で、ちゃんと眠ってくれた。

そう思ったら、俺は彼女との未来に希望が持てた。


ーー 出社準備を終えた俺は、再び寝室へ戻り彼女へ宛てた手紙をベッドサイドに残した。

「おはよう。昨日は沙綾に会えて安心した。俺の過去の事で沙綾を傷つけてしまって本当にごめん。俺は、これからも沙綾とずっと一緒に居たい。未来の俺を見て欲しい。そして、何よりも未来の沙綾が見たい。今日は、夕方までには家に戻るから。沙綾に、どうしても伝えたい事があるんだ......。P・S仕事の事は気にしなくて大丈夫だよ。会社には俺が伝えておくから、沙綾は家でゆっくり休んでて」

彼女に家に居て欲しい。......毎日。

そして、俺を迎えて欲しい ーー。

俺は彼女にプロポーズするため、今日は休暇をとって彼女へ贈る指輪を買いに行く。

本来はオーダーメイドで作り。彼女の気に入ったものを贈りたいが、急遽カナダ支社への辞令が降りた俺はひとまず、仮の指輪を贈る事にした。

仮といっても、もちろん最良のものを贈る。

ジュエリーショップが開店する前に。昨日、突然食事会を抜け出した俺は親父へ連絡をした。

「彼女と仲直りは出来たか?」

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