拘束時間 〜 追憶の絆 〜
結ばれた夜 ーー。
ーー 2026年5月13日 ーー
「牧村さん、採血しますね〜......」
「はい。お願いします」
「最初ちょっと。チクっとしますよ〜、テレビ見て気をそらしてて下さい」
「大丈夫、大丈夫。沙綾ちゃん注射上手だから、全然痛くない」
「本当ですか?(笑)牧村さんは、優しいですね。こんなドジ看護師に気を使ってくれて......」
「苗字が同じだし、自分の孫みたいに思うのよ。沙綾ちゃんのこと」
ここは、優斗君が事故の後運ばれて、最後を迎えた病院 ーー。
8年前。彼のもとを去り、会社を辞めた私は。今は地元に戻って看護師として働いている。
彼は、ずっと私を守ってくれて、甘えさせてくれた。
そして、心から私を愛してくれた......。
だから今度は。私が誰かを守って、尽くしたい。
ようやく。そう思えるようになった時、彼は日本に居なかった。
彼が独りでカナダへ旅立ったことは、百合奈から聞いた。
「あら......、飛行機事故だって。しかも、この近くの空港じゃない......」
「意識不明の重体となっているのは、『personal advertise』代表取締役 社長。戸川 怜斗さん 30歳です.......」
テレビに映るアナウンサーが。私の忘れられない男(ひと)の名前を言った。
さっき救急車が搬送口に到着したのは知っていたけど、それは病院なら日常茶飯事のことで......。
ーー テレビのニュースと救急車が到着したことが結びつくなんて考えたくもない......!
「沙綾ちゃん?どうしたの?なに泣いてるの......!?大丈夫!?」
8年ぶりに聞いた彼の名前。
それが、こんなに悲しいきっかけで聞くことになるなんて......。
「牧村さん、採血しますね〜......」
「はい。お願いします」
「最初ちょっと。チクっとしますよ〜、テレビ見て気をそらしてて下さい」
「大丈夫、大丈夫。沙綾ちゃん注射上手だから、全然痛くない」
「本当ですか?(笑)牧村さんは、優しいですね。こんなドジ看護師に気を使ってくれて......」
「苗字が同じだし、自分の孫みたいに思うのよ。沙綾ちゃんのこと」
ここは、優斗君が事故の後運ばれて、最後を迎えた病院 ーー。
8年前。彼のもとを去り、会社を辞めた私は。今は地元に戻って看護師として働いている。
彼は、ずっと私を守ってくれて、甘えさせてくれた。
そして、心から私を愛してくれた......。
だから今度は。私が誰かを守って、尽くしたい。
ようやく。そう思えるようになった時、彼は日本に居なかった。
彼が独りでカナダへ旅立ったことは、百合奈から聞いた。
「あら......、飛行機事故だって。しかも、この近くの空港じゃない......」
「意識不明の重体となっているのは、『personal advertise』代表取締役 社長。戸川 怜斗さん 30歳です.......」
テレビに映るアナウンサーが。私の忘れられない男(ひと)の名前を言った。
さっき救急車が搬送口に到着したのは知っていたけど、それは病院なら日常茶飯事のことで......。
ーー テレビのニュースと救急車が到着したことが結びつくなんて考えたくもない......!
「沙綾ちゃん?どうしたの?なに泣いてるの......!?大丈夫!?」
8年ぶりに聞いた彼の名前。
それが、こんなに悲しいきっかけで聞くことになるなんて......。