拘束時間   〜 追憶の絆 〜
私の妊娠が分かった父と母は心底喜んでくれて、これからのことや彼に色々と聞きたいことがあるにもかかわらず。彼を残して先に病室を後にした。それは、ようやく会えた私達を二人きりにさせてやろうという計らいだった。

「赤ちゃんの名前、さっそく考えたんだけど......」

「うん、俺も考えたよ」

まだ性別も分からないのに、きっと私達は同じ名前を考えている。

「優斗」

彼と私の声が見事に重なって、私達は互いに微笑みあった。

この子はきっと男の子で、優斗君の生まれ変わりだ......。

優斗君は怜斗と私に、たくさんの優しさと愛を教えてくれたから今度は私達がこの子にたくさんの愛情を注ぎたい。

「女の子だったら、どうしよう?」

「きっと、男の子だよ......」

彼は、布団越しに私のお腹に手を当てながら穏やかに言った。

「お腹の子と三人で結婚式を挙げたいな」

「体調は大丈夫なの?絶対に無理しないって約束して」

彼は私とお腹の子の安全を考えて出産後に結婚式を挙げたいようだけど、私はできることなら家族三人で祝福を受けたい......。

「今は、妊娠中でも結婚式を挙げるカップルはたくさんいるよ。マタニティー用のウェディングドレスもあるし......」

「それなら、ちゃんと沙綾の体に合わせたウェディングドレスをオーダーメイドしよう。もちろん俺達がつける結婚指輪も。全部、世界で一つだけの、俺達だけのものにしよう」

「うんっ......」

私達は話し合った末、お腹の子が安定期に入ってから結婚式を挙げることにした。

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