拘束時間   〜 追憶の絆 〜
澄み切った青空と満天の星空を駆ける、笑顔の天使 ーー。

彼は20年前、天命を全うして神様のもとへと帰って行った。

彼の天命とは。この世界において、尊い愛を成就させて新しい命を未来へ紡ぐこと......。



「早く会いたいな。俺達の子に......」

親族や友人達の訪問も落ち着いて、二人きりになった新郎新婦の控え室。

彼はお腹の子を気遣い、前からではなく後ろから私を抱きしめて首元に顔を埋めて囁いた。

「これから三人で、お式だよ。ママのお腹の中でいい子にしててね」

「ママが今日着ているドレスは、お前のためにパパとママが考えたんだよ」

妊娠5ヶ月でお腹が大きくなり始めたことを考えて、オーダーメイドしたウェディングドレスは胸元に切り替えのあるAラインシルエット。

切り替え部分にはリボンがあしらわれていて、少しベビードールにも似ている。そして、スカート部分は”ふんわり”且つ”こんもり”としている。

「お腹の子のことを第一に考えて作ったドレスだけど。今日の沙綾、全然妊婦さんに見えないよ。おとぎ話に出てくるお姫様みたい。すっごく、かわいい......!」

これから私はママになるっていうのに、彼の過保護は相変わらずだ。

でも、ずっとそうであってほしい。

そして、いつまでも私の王子様でいてほしい......。

「奥さんになっても、ママになっても。俺にとって沙綾は、ずっとかわいい初恋のお姫様だよ......」

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