拘束時間 〜 追憶の絆 〜
『*:.。. ファーストキス♡』
新緑の季節 ーー。
燦々と降り注ぐ日差しに喜んだ水守の精は、水面で”はしゃぎ”キラキラと湖を輝かせている。
大きな湖を囲うようにクローバーの群生が生き生きと茂り、吹き抜ける風にさわさわと揺れていた。
躍動的な緑の中に独り座って、黙々と手を動かしている小さな男の子......。
幸せの四つ葉のクローバーでも探しているのだろうか?
かと思えば、男の子は群生の中に点在する白くて丸い花を見つけては摘み取り束ねている。
その子が私の方に振り返り名前を呼んだ。
「沙綾ーっ!!」
ーー 優斗君......!
「これ、やるっ!」
決して上手とは言えない、拙い”花かんむり”。
優斗君は一生懸命に集めたシロツメクサで、私に花かんむりを作ってくれていた.....。
「優斗くん、ありがとうっ!」
彼は私の頭に花かんむりを飾ると、瞳をじっと見据えて意を決したようだった。
「今から沙綾に、大切なこと言うぞ」
8歳の男の子が思う大切なこととは......?
ーー 「沙綾。大きくなったら、おれのお嫁さんになれっ!」 ーー
「.......。.......う〜ん......、そろそろ起きなきゃ.......」
私は毎年、GW(ゴールデンウィーク)には実家へ帰っている。家族や地元に残る友達と会う為なのはもちろんの事、それから忘れてはいけない大事なことが一つ。
優斗君のお墓と、お仏壇にお参りすること......。
私の実家から優斗君の家までは徒歩で10分ほど。
まだ鮮明に残る夢の記憶を思い浮かべながら。私は優斗君の家まで、彼に捧げる花束を持って歩いていた。
さっき見た夢が思い出させてくれた。
ーー 優斗君は私にプロポーズしてくれていた。
幼すぎて、言葉の持つ本当の意味も知らず。過去の景色に仕舞われた大切な記憶。
まだ思春期にも満たなかった私達は恥ずかしがることもなく、ありのままの純粋な想いを通わせていた。
どうして優斗くんだけが無惨にも、あんなに早く天に昇って行ってしまったのか......。
私への花かんむりを作るために愛らしいシロツメクサを手折ったから ーー?
その代償にしては、あまりにも重すぎる。
私は時間の流れを恨んだ。
優斗君を置き去りにして、私だけを大人にした。
私だけ大人になって、就職して。そしたら......、
.......戸川君と出会った。
毎年、優斗君のことだけを考えながら歩く道。
今年は、もう一人。
私は戸川君の事を考えていた......。
燦々と降り注ぐ日差しに喜んだ水守の精は、水面で”はしゃぎ”キラキラと湖を輝かせている。
大きな湖を囲うようにクローバーの群生が生き生きと茂り、吹き抜ける風にさわさわと揺れていた。
躍動的な緑の中に独り座って、黙々と手を動かしている小さな男の子......。
幸せの四つ葉のクローバーでも探しているのだろうか?
かと思えば、男の子は群生の中に点在する白くて丸い花を見つけては摘み取り束ねている。
その子が私の方に振り返り名前を呼んだ。
「沙綾ーっ!!」
ーー 優斗君......!
「これ、やるっ!」
決して上手とは言えない、拙い”花かんむり”。
優斗君は一生懸命に集めたシロツメクサで、私に花かんむりを作ってくれていた.....。
「優斗くん、ありがとうっ!」
彼は私の頭に花かんむりを飾ると、瞳をじっと見据えて意を決したようだった。
「今から沙綾に、大切なこと言うぞ」
8歳の男の子が思う大切なこととは......?
ーー 「沙綾。大きくなったら、おれのお嫁さんになれっ!」 ーー
「.......。.......う〜ん......、そろそろ起きなきゃ.......」
私は毎年、GW(ゴールデンウィーク)には実家へ帰っている。家族や地元に残る友達と会う為なのはもちろんの事、それから忘れてはいけない大事なことが一つ。
優斗君のお墓と、お仏壇にお参りすること......。
私の実家から優斗君の家までは徒歩で10分ほど。
まだ鮮明に残る夢の記憶を思い浮かべながら。私は優斗君の家まで、彼に捧げる花束を持って歩いていた。
さっき見た夢が思い出させてくれた。
ーー 優斗君は私にプロポーズしてくれていた。
幼すぎて、言葉の持つ本当の意味も知らず。過去の景色に仕舞われた大切な記憶。
まだ思春期にも満たなかった私達は恥ずかしがることもなく、ありのままの純粋な想いを通わせていた。
どうして優斗くんだけが無惨にも、あんなに早く天に昇って行ってしまったのか......。
私への花かんむりを作るために愛らしいシロツメクサを手折ったから ーー?
その代償にしては、あまりにも重すぎる。
私は時間の流れを恨んだ。
優斗君を置き去りにして、私だけを大人にした。
私だけ大人になって、就職して。そしたら......、
.......戸川君と出会った。
毎年、優斗君のことだけを考えながら歩く道。
今年は、もう一人。
私は戸川君の事を考えていた......。