拘束時間 〜 追憶の絆 〜
戸川君と初めて会った日に、私は彼に食事に誘われた。
だけど、その時。私は戸川君と同姓同名で、幼くして亡くなった初恋の彼のことを思い出して泣いてしまった。
だから、食事どころではなくなって......。
彼が言う”良い”お店ってどんな所だろう??
彼の好みを知る機会だ。
「ここ、予約してないと入れないんじゃ?てゆうか、すっっごく高そう......!」
ーー 戸川君の言う”良い”お店は、本当に星が五つも付くフレンチの高級レストランだった。
新社会人で若干22歳、新米OLの私は。その重厚な佇まいの外観に、口をあんぐりさせて呆然と立ち尽くしていた。
一方、私と同じ新社会人で若干22歳の彼は、高級店の雰囲気に気圧されることも無く、実にこなれた様子でレストランに入っていった。
「ちょっ、ちょっと......!戸川君っ!」
私は慌てて彼を制止した。そんな私に彼は、
「大丈夫だよ。結構来るんだ、ここ。常連だから予約なしでも入れてくれるよ」
戸川君の姿を見つけた責任者らしき人がスタスタと歩いてきて彼に丁寧に挨拶をした。
「いらっしゃいませ、戸川様。ただいま個室へとご案内致します」
私達は高級店の、その中でも特に上客が使うであろう奥の個室へと案内された。
戸川君の住まい、彼が乗っている高級車、そして今日のレストラン......。
これまでの流れを辿り、私は彼が完全に富裕層の子息であることを理解した。
「沙綾ちゃん。早速なんだけど、あのね。もう分かってると思うけど......」
彼がついに大金持ちの素性を明かすのかと、私は息を飲んだ。
「うん。......何?」
「俺達が付き合ってるって噂、肯定してほしい」
彼は、自分の素性には一切触れず。例の戸川君と私が付き合っているという、あの噂について話し始めた。
ーー てゆうか、その言い方。もしかして......、
”告白”なの ーー??
「沙綾ちゃんが初恋の彼を忘れられないのは分かる。だから、俺は保護者って言ったんだけど......。正直、もう保護者は辞めたいんだ。俺、沙綾ちゃんが好きだ」
「......」
彼の気持ちには気がついていた。そして、日に日に彼を求めてゆく自分の気持ちにも気がついていた。だけど、いざ告白されると迷う。
そんな意気地のない私に。彼は、テーブルの中央に置かれたキャンドルの炎を琥珀色に染まった、その瞳に宿しながら情熱的な恋の呪文を囁いた ーー。
「俺達、恋人同士になろう......」
「うん......」
だけど、その時。私は戸川君と同姓同名で、幼くして亡くなった初恋の彼のことを思い出して泣いてしまった。
だから、食事どころではなくなって......。
彼が言う”良い”お店ってどんな所だろう??
彼の好みを知る機会だ。
「ここ、予約してないと入れないんじゃ?てゆうか、すっっごく高そう......!」
ーー 戸川君の言う”良い”お店は、本当に星が五つも付くフレンチの高級レストランだった。
新社会人で若干22歳、新米OLの私は。その重厚な佇まいの外観に、口をあんぐりさせて呆然と立ち尽くしていた。
一方、私と同じ新社会人で若干22歳の彼は、高級店の雰囲気に気圧されることも無く、実にこなれた様子でレストランに入っていった。
「ちょっ、ちょっと......!戸川君っ!」
私は慌てて彼を制止した。そんな私に彼は、
「大丈夫だよ。結構来るんだ、ここ。常連だから予約なしでも入れてくれるよ」
戸川君の姿を見つけた責任者らしき人がスタスタと歩いてきて彼に丁寧に挨拶をした。
「いらっしゃいませ、戸川様。ただいま個室へとご案内致します」
私達は高級店の、その中でも特に上客が使うであろう奥の個室へと案内された。
戸川君の住まい、彼が乗っている高級車、そして今日のレストラン......。
これまでの流れを辿り、私は彼が完全に富裕層の子息であることを理解した。
「沙綾ちゃん。早速なんだけど、あのね。もう分かってると思うけど......」
彼がついに大金持ちの素性を明かすのかと、私は息を飲んだ。
「うん。......何?」
「俺達が付き合ってるって噂、肯定してほしい」
彼は、自分の素性には一切触れず。例の戸川君と私が付き合っているという、あの噂について話し始めた。
ーー てゆうか、その言い方。もしかして......、
”告白”なの ーー??
「沙綾ちゃんが初恋の彼を忘れられないのは分かる。だから、俺は保護者って言ったんだけど......。正直、もう保護者は辞めたいんだ。俺、沙綾ちゃんが好きだ」
「......」
彼の気持ちには気がついていた。そして、日に日に彼を求めてゆく自分の気持ちにも気がついていた。だけど、いざ告白されると迷う。
そんな意気地のない私に。彼は、テーブルの中央に置かれたキャンドルの炎を琥珀色に染まった、その瞳に宿しながら情熱的な恋の呪文を囁いた ーー。
「俺達、恋人同士になろう......」
「うん......」