拘束時間   〜 追憶の絆 〜
 「沙綾は何食べたい?」

 「う〜ん......、何でもいいよっ。」

 ”何でもいい”は、男の人がデートで女の子から言われて一番困ると聞いたことがある。

 しかし、優斗は。こういうとき決断が早い。

 「じゃあ。こないだ行ったフレンチで良い?沙綾、残業頑張ってお腹すいただろう?.......今、お腹鳴ったの聞こえたよ」

 「えっ!?私、お腹鳴った!?」
 
 恥ずかしくて顔が真っ赤になった私を、彼は愛しげに見つめて口元を緩ませた。

 「ウソ、冗談。沙綾、あの店また行きたいって言ってたよね」

 「もぉ〜っ!!からかわないでっっ!!優斗のそういうとこ。キラーイッ!」

 私は冗談で彼に”キライ”と言って甘えた。 
 
 そうしたら。すぐに好きが追いかけてきて、私は、このとき思った。

 彼のことが”好き”って......。

 だから、彼のことをもっとたくさん知って。そして彼にも、私のことをたくさん知ってもらって。何の迷いも無く、二人で未来のことを考えられる様になれたら ーー。

 「え!キライ!?......でも俺は、沙綾のことが大好きだよ」

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