真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
Prologue
彼から贈られた某海外ブランドの婚約指輪を帰宅して早々に外し、私はパソコンの前に座った。そして、結婚相談所のホームページを開いた。

「はぁ......」

自覚の無いため息が漏れた。

その直後。先ほど外してテーブルへ無造作に置いた婚約指輪が、先端にはめ込まれたダイヤモンドの重みに耐え切れず”コトンッ”と、簡素で嫌な音を立てたような気がした。


それは、今日の午後八時半に起きた出来事ーー。

「俺達、付き合って半年になるよね」

「うん......」

私は彼に汐らしく返事をした。

「優花、俺と結婚してください」

彼は5つ星フレンチレストランの個室でコース料理が全て終了したのち。おもむろに、ジャケットのポケットからエメラルドグリーンの小箱を取り出した。

そして、うやうやしく私にプロポーズをした。

「広務さん......。嬉しい。ありがとう」

この返事で合ってるのかな?

なんとなく分かってた。

今日が任務達成日になるってことは。

プロポーズに対して「嬉しい。ありがとう」という返事は、いささか間違っているような気がする。けど、「はいっ! 宜しくお願いします」という素直な返事が私はどうしても出来なかった。

彼のことは、嫌いじゃない......。

私の彼氏。成瀬 広務さんは、モデルや俳優にもなれそうな顔とスタイルをしている。

性格だって、優しい......。

私は彼に嫌なことを言われたり、されたりしたことは一度も無い。

それでも、彼は私を傷つけている。

そのことに彼は気がついていない。

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