真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
今、私が広務さんから、ずっと感じている気持ちが、改めて彼の口から発せられた。

そう、結局私は誰よりも広務さんを信頼している。

それは、いつからかと言えば、あの初夏の晴天の日に、どことなく懐かしさが漂う老舗のカフェで彼と初めて会った時からーー。

「風邪引くといけないから、早く髪乾かさないとね」

広務さんは私をバスタオルで包んだ後、彼に全てを任せようと、弛んとしている私の手をとり脱衣所の方へと誘導をした。

私は手を引かれるまま、大人しく彼に付いていく。これはまるで、子猫が母猫の後を追うような感覚だろうか?

初対面の時から私を助けてくれた広務さんの誠実さと優しさに、私は、いつしか満たされない実の母との絆を払拭できるほどの安らぎを感じていた。

広務さんに出会えたから、私はもう寂しくないーー。

改めて、胸いっぱいに彼の存在が愛おしくなって、深い感謝の気持ちが湧き上がった私は、湯上りの柔らかな肌に優しく触れる彼を潤んだ瞳で見つめた。

「うん? そんなに、かわいい顔で見つめてくるなんて......もしかして、今すぐ食べられたいの?」

冗談のような、からかっているような......でも、きっと彼は本気で私に聞いている。

私の答えは......、今すぐ広務さんの温かい胸に抱かれたいーー。

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