真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
感じているのは私の方なのに......。

広務さんは、音信が所々途切れた切羽詰まった声で独り言のように囁いたあと、もはや一抹の余裕も無い指使いを見せた。

恋人という立場を逸脱して、ただの男に還った彼の弄り。

私は、そんな彼が愛おしくて、激しい前後運動によって力のこもった腕に隆起した筋肉の筋を覆うように、彼の腕にしがみついた。

「もう......っ、ダメッ......ッ」

渦を巻く甘い痺れと、いたぶる様な際どい彼の愛撫に私の濡れた芯は、どこまでもだらしない水音を漏らす。

「いいよ......っ、我慢しないで......っ」

まるで私と溶け合っているかのような彼の荒々しい吐息に、私は甘ったるい愛欲がはじけて下腹部がビクビクと震えて膝が崩れ落ちた。

「......っ、......あっ......!」

頂点を迎えた身体に降ってきたのは、繭のような温和な脱力感と鼻腔を掠める安堵感に満ちた香りだった。

今にも滑り落ちそうな、私の”しなった”身体を彼は後ろから深く包み込んで、彼の頬は私の髪にひたりとくっついていた。そして、少し体温が高くなった彼のしっとりとした胸板からはマリンシトラスの香りが立ち上っていてーーこの香りは私にとって最も彼自身を彷彿とさせる。爽やかで、ほの甘い彼の香り......。

「優花、もう歩けないだろ......?このまま抱き上げてベッドルームまで運ぶよ」

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